クフモ室内楽音楽祭

 

クフモって?

フィンランドの首都ヘルシンキから、北東へ約600km、ロシア国境まで40kmとせまる僻地に、湖と森の町「クフモ」はあります。主産業は林業、人口はわずか13,000人程の田舎町です。日本から飛行機で行く場合、ヘルシンキで乗り継ぎ、国内線でカヤーニ空港へ。ここまでの所要時間は最短で約13時間。そこから乗り合いタクシーでさらに100km程で到着です。

 


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クフモ室内楽音楽祭って?

毎年7月の後半、2週間にわたって開催されます。専用ホールの他、教会や学校の体育館など、街中の会場で計70近いコンサートが開かれ、世界中から約50,000人の演奏者や聴講者が集まります。フィンランド人のチェリスト、セッポ・キマネンさん(現、在日フィンランド大使館参事官)と、日本人ヴァイオリニスト、新井淑子さんご夫妻により「商業主義によらず純粋に音楽そのものを楽しむ」というコンセプトのもと、40年前に創設されました。

演奏者はTシャツなどの普段着で演奏し、超一流アーティストも教育プログラム受講生も、同じ食堂で食事をとり、サウナに入り、湖に飛び込み、お酒を飲み、音楽を語らう、という独特な雰囲気が特徴的です。音楽祭の趣旨に賛同してこれまで参加したアーティストには、ギドン・クレーメル、ピンカス・ズッカーマン、ナターリヤ・グートマン、アルバンベルク四重奏団などがおり、日本からも岡山潔氏、堤剛氏、今井信子氏などが招かれ、演奏と指導を行っています。

受講生は、夏休みで空いている教室に寝泊まりしたり、長期休暇で留守中のお宅を借りて住んだりしながら、レッスンを受け、好きなだけ室内楽を演奏し、そして好きなだけアーティスト達の演奏を無料で聴けます。澄み切った空気と美しい自然に囲まれて音楽に没頭する、これほど素晴らしい環境があるでしょうか。

この音楽祭を陰で支えているのが、住人とフィンランド中から集まったボランティアです。音楽を心より愛する彼らは、チケットもぎり、ホームステイのお世話、駐車場係、ウェイトレスなどを率先して手伝い、ほのぼのとした雰囲気が街中に溢れています。世界のメディアでは、ニューヨークの文化誌Connoisseurが1989年に、The Financial Timesが2002年と2003年に、「世界で最もすばらしいと思えるユニークな室内音楽フェスティバル」と評されていますが、日本ではまだ音楽専門雑誌にもあまり紹介されていません。でも、もっと紹介して欲しいようで、でもちょっと秘密にしておきたい、そんな気分にさせてくれる音楽祭です。